どちらも苦しそうな顔
REVIEW
DVD「 真夜中のピアニスト」(2005年・フランス)
フランス映画らしい作品だ。主人公はヤクザではないが、限りなく近い不動産ブローカー。家から追い出すためには暴力も使う。主人公はバイオレンス、不倫、その場限りのセックスをしつつ、夜中自宅に帰ると静かにピアノの練習し、昼間学生のレッスンをまじめに受ける。このコントラストがおもしろい。
人格の二面性というのは映画では決して珍しいことではないが、他の作品では二面性がナルシズムに結びついて「表の顔」と「裏の顔」を使い分ける美意識というか、楽しむようなところが感じられる。しかし、本作は「どの顔」も苦しそうであって、主人公はいつもイライラしている。そんな彼の安息地は多分ピアノなのだけど、単純に家でピアノが弾ければ幸せという訳でもない。オーディションをモノにしないといけないのだ。人生はシンプルでありたいが、それを邪魔をするノイズが多い。そんなノイズの存在はよく表現されている作品だと思った。まったく人生は常にノイジー。
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